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慢性肝炎除斥を争う原告の本人尋問が行われました

2016/11/29
 福岡地方裁判所において、2016年11月28日午後1時30分ころから午後4時30分ころまでの間、慢性肝炎除斥を争う九州の原告2名の本人尋問が行われました。
 



 

 当事務所の弁護士の多くは、B型肝炎訴訟全国弁護団に所属しており、今回の原告本人尋問には、西山弁護士が、北陸の原告2名とともに、応援参加しました。
 尋問を受けたのは、慢性肝炎発症後、いったん慢性肝炎が沈静化し、その後、慢性肝炎が再発した九州の原告2名。この2名は、「初回」の肝炎発症から提訴までは20年(除斥期間 ※下の解説参照)が経過してしまっているのですが、国は、この点をとらえて、除斥前提の和解金(150万円から300万円)でしか和解できないと主張しています。ただ、この原告の方々は、肝炎「再発」時から提訴までは20年が経過しておらず、全国原告団・弁護団は、この点をとらえて、除斥ではなく、通常通りの和解金(1250万円)で和解すべきと主張して、除斥期間の起算点を争っているのです。
 福岡地裁においては、この点について、以前から、全国原告団・弁護団と国との間で、医学的な論拠等に基づく激しい攻防が繰り広げられており、攻防も概ね最終盤にさしかかったことから、今回、代表的な九州の原告2名について、原告本人尋問が実施されたのです。全国各地から、20名の原告と14名の弁護士が応援にかけつけ行われた本人尋問では、ウイルス感染によって、病気を発症しただけでなく、仕事を失い、結婚・出産等の人生設計を狂わされるなど、金銭には代えがたい重大な「被害」が発生していることなどが明らかになりました。
 原告本人尋問も終了したことから、全国原告団・弁護団は、今後、福岡地裁において、慢性肝炎の除斥期間の起算点について、出来るだけ速やかに裁判所の見解を明らかにするよう求めていくこととなります。


除斥期間とは・・・法律関係を安定させるため、一定の期間経過後に権利を消滅させる制度。民法724条後段は、「不法行為の時」から20年経過すると、損倍賠償請求権が消滅すると規定している。B型肝炎訴訟に当てはめると、慢性肝炎の「被害結果」が生じた人は、その結果が生じたとき、すなわち慢性肝炎発症時が除斥期間の起算点となる「不法行為の時」とされ、その時から、20年が経過すると、民法上は、損害賠償請求権が消滅することとなる。もっとも、基本合意上は、除斥期間が経過した被害者の方についても、少額ではあるものの、一定の和解金が支払われることにはなっている。


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