活動・事件紹介・弁護士コラム

望まれる刑事補償法の改正

2025/11/28
昨年は、袴田事件で再審無罪が確定し、今年は、福井女子中学生殺人事件でも無罪が確定するなど、再審に注目が集まりました。
 その袴田事件の身体拘束期間は約47年7か月にわたったそうです。これに対しては、無罪判決を受けた人への補償を定めた、刑事補償法という法律による補償が行われました。しかし、法が定める補償額は、1日当たり1000~1万2500円です。袴田事件でも上限額の1万2500円が認められましたが、身体拘束への補償には不十分な金額です。
 昨年、私が無罪判決を得た事件に関し、刑事補償請求の手続も行う機会があり、その際、刑事補償法の改正状況を調べてみました。
 1日当たりの補償額は、法の施行時(昭和25年1月1日)は200~400円でしたが、その後9回、平均5年弱のペースで法改正による補償額の増加が図られました。もっとも、最後の改正は、今から30年以上前、平成4年6月26日に施行された現行規定です。
 日本の司法の病巣である人質司法の問題の解決ももとより必要ですが、無罪判決確定後の補償の問題も一層のフォローアップが進められなければなりません。

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